【倫理観】組織のコンプライアンス強化対策~外部違反事例、内面倫理観、守られる環境づくりの3つの柱~
組織のコンプライアンス強化対策として、最新違反事例の情報提供や勉強会を実施する組織が多く見受けられます。
しかし、社会的に組織のコンプライス違反が、無くならず、繰り返し発生し続けているのが実態です。
コンプライアンス違反は、会社だけでなく、自民党の裏金問題、および国会議員や県知事のパワハラ、地位を利用したおねだりなど、多岐の組織に渡ります。
議員さんの多くは、一般社会で通用せず、議員しか家業として出来ずになっている世襲議員がほとんどです。税金を払わずにお金でズルするのが、あたりまえと思っているので、議員の立件率が一般社会人と比べて桁違いに高いのは当たり前の話です。
自分だけズルする倫理観がない社会が蔓延する中、組織のコンプライアンスをいかに維持強化していくか、以下に、私が考える3つの柱を紹介します。
1.外部違反事例の取り込み
外部とは、自身に対して外側からを意味します。よって、違反事例は組織の内外を問わず、自身の外側から入ってくる違反事例の情報です。
これにより、「自分は、そうならないぞ!」と一瞬だけ思いますが、ほとぼりが冷め、忘れたころに、同じ局面に立つと、「自分だけはよいだろう」、「自分だけはバレないだろう」と思いコンプライアンス違反を犯してしまいます。
よって、外部違反事例の取り込みは、定期的に必要ですが、究極の局面でコンプライアンス違反を犯さないために、次にあげる、自身の内面からの倫理観が重要となります。
2.内面からの倫理観を養う
では、内面からの倫理観を養うには、どうすればよいでしょうか。
私は、技術士と労働安全コンサルタントです。
技術士は、技術士法の中で3義務2責務が求められており、3義務のうち、「秘密保持義務」を破ると、違反の罰則は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が課せられ、3大義務と2大責務に違反した場合は、登録の取り消し、又は2年以内の期間を定めて技術士名称の使用を停止されます。
また、3義務の中に「信用失墜行為の禁止」があり、加えて2責務の「公益確保の責務」と「資質向上の責務」があり、高い倫理観が求められていて、倫理に関する継続研鑽を重ねています。
なお、技術士には「技術士倫理綱領」、労働安全コンサルタントには「労働安全衛生コンサルタント倫理綱領」があり、それぞれで高い倫理観が求められます。
それぞれ、本文が以下の10項目ずつで構成されています。
表1.技術士倫理綱領、及び労働安全コンサルタント・労働衛生コンサルタント倫理綱領の項目比較
No. |
技術士倫理綱領 |
労働安全衛生コンサルタント倫理綱領 |
||
項目 |
補足 |
項目 |
補足 |
|
1 |
安全・健康・福利の優先 |
公衆の安全 |
使命 |
労働者の安全と健康確保 |
2 |
持続可能な社会の実現 |
地球環境の保全等 |
業務の公正 |
公正誠実 |
3 |
信用の保持 |
品位の向上 |
品位の保持 |
信用を傷つけ、不名誉 |
4 |
有能性の重視 |
力量が及ぶ範囲 |
資質の向上 |
知識・技術の研鑽 |
5 |
真実性の確保 |
客観的事実 |
権威の保持 |
専門外の業務受託しない |
6 |
公正かつ誠実な履行 |
公正な分析と判断、業務 |
秘密の保持 |
秘密を漏らし、盗用禁止 |
7 |
秘密情報の保護 |
業務上知り得た秘密 |
明確な契約の締結 |
書面による契約 |
8 |
法令等の遵守 |
文化を尊重 |
契約の履行 |
誠実な業務の履行 |
9 |
相互の尊重 |
業務上の関係者 |
受益の制限 |
不当金品の贈与、供応禁止 |
10 |
継続研鑽と人材育成 |
知識を常に高める |
安全・健康の維持 |
常に安全と健康を保持 |
なお、詳細は、日本技術士会、及び日本労働衛生コンサルタント会(長崎支部)のHPの倫理綱領リンクを以下に貼りましたので参考にして下さい。
技術士倫理綱領
技術士倫理綱領が改定されました|公益社団法人 日本技術士会 (engineer.or.jp)
労働安全衛生コンサルタント倫理綱領
(社)日本労働安全衛生コンサルタント会 長崎支部 - 労働安全衛生コンサルタントとは (jashcon-nagasaki.jp)
私は、これらの倫理綱領をときどき輪読し、このフレームワークを用いて自身に倫理観を浸透させて、内面からの倫理観を高めています。
3.守られる環境づくり
組織内でガイドやマニュアルを作成しても、守られないケースがあります。
守られない要因としては、
・マニュアル自体が現実離れし、守りにくい。
・マニュアルを守る環境でない。
・マニュアル自体を知らない、内容が分からない。
の3点があります。
よって
(1)守りやすいマニュアルづくり
(2)守りやすい環境づくり
(3)マニュアルの教育・訓練
の3つが必要です。以下に具体的に述べたいと思います。
(1)守りやすいマニュアルづくり
初めにマニュアル作りです。人任せではいけないから、より良いやり方を標準化し、マニュアル化するということです。ただ問題が少しあって、人間にとってやりやすいやり方には出来ない場合があります。つまり、法令、規格などで内容が決まる部分が多いということです。そうはいっても、人間は万能ではないのだから、できるだけの配慮はして、実行しやすい、実行できるマニュアルを作りましょう。
(2)守りやすい環境づくり
次に、黙っていても守られるような条件整備、環境改善をします。例えば、道具を使いやすくするとか、照明を明るくるとか、足元を確保するとか、整理整頓するなどといったことです。人間は万能ではないから、能力には限界があります。だから、何はともあれ、まずは人間工学に基づいての環境づくりが重要です。例えば、法令に基づいて、環境データを測定する場合、測定器が使いずらかったり、測定時間がかかり手間がかかり過ぎる場合には、測定せずにデータの捏造が発生します。人間は、効率が悪いと省略したくなる生き物です。そうならないためにも、守りやすい環境づくりは重要です。
(3)マニュアルの教育・訓練
3つ目として、マニュアル教育です。そのマニュアル通りにきちんとやるのということで、マニュアルの教育訓練を徹底的にやりましょう。これをきちんとやっていれば問題は起こらないはずなんだが、往々にしてエラーとか、規程違反が発生します。つまりマニュアルからの逸脱を起こします。
もし逸脱が起きたのなら、是正という考え方が出てきます。つまり、マニュアルと人とを密着させるということで、マニュアルを見直すか、人間側を再教育するか、という考え方になります。
4.まとめ(体験談を含む)
倫理観を高めるには、自身の外部より違反事例の情報を取り入れて警戒させると共に、本人の内面からの倫理観を鍛える必要があります。
今回は、技術士法や資格の倫理綱領により、自身の内面から倫理観を高める内容を紹介しましたが、倫理勉強会に参加したり、倫理の本を読んだり、仏教を聞いたりなど、自身の倫理感を養う自分に合った方法を選んでください。
そして誠実さが身に付けば、廻りに左右されない倫理観が身に付きます。
例えば、今年初めの確定申告の際、その前に自民党の裏金問題で、政治家が悪いことをして金儲けしているのに、なぜ国民は確定申告で税金を追加で払わなくてはならないのか!と言った、ツイッターや税務署へのクレームがありました。
私は、今年初めの確定申告で還付ではなく課税追加があり、人によっては確定申告をしないという判断もあったと思います。しかし私は、裏金政治家という悪い奴らの判断に引きずられて、自分の判断を狂わせたくない、という思いがあり、きっぱりと確定申告しました。
これらは、技術士倫理綱領などから、自身の内面の倫理観を鍛えた判断だったと考えます。
とは言っても守られる環境づくりは、重要ですよね。
確定申告は、医療費領収書やふるさと納税の寄附金受領証明書などを添付し作成しましたが、手間が大変なので、制度の簡素化やAIで自動でやってくれる、環境づくりは、大事だと実感しました。
コンプライアンス対策として、倫理観を高める参考としてみて下さい。
以上
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