【資格の保有者講習】消防設備士講習の受け方・内容・受講した感想
私は、消防設備士の甲種第4類と乙種第7類を保有しており、消防設備士講習の講習区分、警報設備を先日、受講しました。
※.以下の2冊は、私が消防設備士(乙7、甲4)の資格受験勉強に活用した問題集です
今回は、そもそもなぜ受けなければならないのか、その受け方、受講内容、受講した感想などを紹介します。
1.消防設備士 講習の受講義務
消防設備士は、都道府県知事が行う消防用設備等の工事又は整備に関する講習を定期的に受けなければならないとされており、現在、消防用設備等の点検、工事などの業務に従事しているか否かにかかわらず、定期的に講習を受講する必要があります。
(消防法第17条の10)
消防設備士免状を有する者は、消防用設備等の工事又は整備に関する新しい知識、技能の習得のため、免状交付後2年以内に、その後は5年以内ごとに、都道府県知事が行う講習に参加しなければなりません。
(消防法施行規則第33条の17)
同じ消防法を根拠とする危険物取扱者免状所持者は危険物に関する実務に就いていない場合は保安講習の受講義務が無いのに対し、消防設備士の場合は関連実務に全く就いてない場合でも受講の義務があります。
2.受講対象者
(1)新たな免状の交付を受けた者
免状の交付を受けた日以後における最初の4月1日から2年以内に都道府県知事が行う講習を受けなければなりません。
危険物取扱者の場合には、新たな従事者や従事再開者が従事することになった日から1年以内に受講する条件はあります。但し、従事開始にあたり過去2年以内に免状交付や保安講習を受けた者は、免状交付日、または保安講習の受講日以後における最初の4月1日から3年以内に受講義務に緩和されます。よって、消防設備士の免状交付の2年以内は、危険物取扱者の免状交付の3年以内よりも短い条件になっています。
(2)講習2回目以降の受講者
前回講習を受講した日以後における最初の4月1日から5年以内に受講しなければなりません。
これは危険物取扱者の従事講習、3年以内よりも緩和されています。
3.申込む前の準備
(1)写真の書き換えが必要なケース
消防設備士の免状は、10年以内に写真の書き換えが必要です。
古いままでも、消防設備士講習を受けられるようですが、後に写真の書き換えが必要となります。
消防設備士講習の修了記録は、新しい免状の裏面へ、講習受講後に記録してもらうためであり、後々の手間の面倒さを考えると、講習前に写真を書き換えて受講した方がよいでしょう。
a.写真書き換えの申請書
一般社団法人 消防試験研究センター のホームページよりダウンロードできます。
以下に、リンクを貼りました。
b.写真書き換えの費用
1,600円
申請先の道府県の収入証紙を購入し、申込書裏面の下部に貼って申請する必要があります。
広島県は、県が指定する金融機関等に納付した後、払込証明書の原本を申請書裏面の下部に貼って申請する必要があります。
東京都の場合は2パターンあり、
中央試験センターに申請する場合は、中央試験センターか東京消防庁消防試験講習場で配布している専用の納付書で東京都が指定する金融機関等に納付した後、領収証書の原本を申請書に添えて申請する必要があります。
東京都内の消防署に申請する場合は、窓口で現金による納付となります。
その他、証明写真をお店で撮る場合には、その費用が必要となりますが、私はスマホで撮影し、光沢写真用紙に印刷しましたので、写真の費用は特にかかりませんでした。
c.写真書き換えの申請先
(a)居住地又は勤務地の都道府県の消防試験研究センター支部
(b)免状交付を受けた都道府県の消防試験研究センター支部
(c)居住地又は勤務地あるいは免状交付を受けた場所が東京都の場合は、中央試験センターか東京都内の消防署
(2)受講申請書(申込書)用紙の準備
申請書用紙(申込書)は、講習機関である各地方の消防設備関連機関によりマチマチで、各地方機関のホームページからダウンロードするケースもあれば、各消防本部(署)や消防署などに備え付けてある「講習の実施要領と受講申請書用紙」を取りに行くケースがあります。詳細は、次の項目で全国の消防設備協会一覧のリンクを貼りましたので、居住している都道府県を選択し、確認してみて下さい。
私は、近くの消防署に電話して、受講申込書があるのを確認してから直接貰いに行きました。
4.消防設備士 講習の主催機関
各都道府県の消防設備協会となります。
全国の消防設備協会一覧のリンクを以下に貼りました。
5.受講申請書(申込書)の作成
受講申請書の作成は、簡単です。
氏名、生年月日、本籍、住所、電話番号、勤務先名称、勤務先所在地と電話番号、講習区分、受講希望地、受講希望日、免状種別、免状交付月日、交付番号、交付知事を記入して申請書の作成は終わりです。
他に、受講票に受領先の住所・氏名を記入しておきます。後に受講番号、受講日、及び講習会場が記載されて返送されてきます。
申請書の下には、収入証紙を貼る欄がありました。
なお、都道府県により、インターネットによる電子申請を受け付けている機関があります。その場合の受講手数料は、指定された銀行口座への振込となります。
6.講習の区分
(1)消火設備
第1類と第2類と第3類の消防設備士が受ける講習
(2)警報設備
第4類と第7類の消防設備士が受ける講習
(3)避難設備・消火器
第5類と第6類の消防設備士が受ける講習
(4)特所消防用設備等
特類の消防設備士が受ける講習
(5)危険物取扱者 保安講習との比較
危険物取扱者の保安講習区分は、資格の分類により3区分に分かれているが、消防設備士講習は、上記のように取扱う危険物施設の分類により4区分に分かれている違いがあります。
(6)消防設備士免状および消防設備用設備等の種類、講習区分
表1.消防設備士免状および消防設備用設備等の種類
表2.消防設備士 講習区分
7.受講費用
7,000円
都道府県の収入証紙を買って、申請書の裏面に貼ります。
なお、都道府県の講習機関で電子申請を受け付けている場合の受講費用は、銀行口座振込となります。
8.受講申請書の受付・締切
消防署から貰った申請書には、送付用封筒が付いていなかったため、自分で封筒を用意し、送付先の住所を記載して、郵送しました。
申請書は、A4であり「折り曲げないで下さい」とのコメントが記載していたため、A4版の封筒(角型2号)に入れ郵送しました。この封筒サイズは、定型外郵便の規格であり、普通郵便で120円でした。
簡易書留で送付すると、400円近くの送付費用がかかります。郵送を普通郵便または簡易書留で送るかは、リスクと費用を考慮して、自己責任で判断して下さい。なお、提出先には、平日の受付時間内であれば、直接、持参提出も可能です。
受付期間は、都道府県毎に受講開催日が違うため、受付期間も異なります。
なお、定員に達した場合は、受付期間中であっても締切る場合がありますので、受講日を決めた人は早めに申込みましょう。
9.講習時間と講習科目
※.講習テキスト写真
私は、講習区分が「警報設備」で受講しましたので、その内容で紹介します。
講習の時間は、9時~17時半でした。
講習科目は、午前中の「法令に関する事項」と午後からの「工事又は整備等に関する事項」の2科目になります。
開始時には、オリエンテーションがあり、終了前の30分間で終了考査としての効果測定テストがありました。
なお、「法令に関する事項」の受講を終了した方は、6ヶ月以内に他の講習区分を受ける場合に、「法令に関する事項」の講習が免除になります。
10.講習内容
・私は、講習区分が「警報設備」で受講しましたので、その内容で紹介します。
・テキストが配られ、大画面のスクリーンに事前に撮影した講習映像が映し出される形式で講義は進められます。
・消防設備関係法令の改正に関して最近(5カ年以上前の火災による改定の話も出ていたが)の改正内容の紹介がありました。つまり、規定周期の5年ごとに受ければ、改定内容が把握できる仕組みとなっています。
・「警報設備」の講義は、「自動火災警報設備」、「ガス漏れ火災警報設備」、「漏電火災警報器」、「消防機関へ通報する火災報知設備」、「総合操作盤」などについて、工事又は整備に関する技術基準の要点を中心に学習しました。大半の時間が割かれるのは、やはり「自動火災警報設備」についてで、受信機や検出器の適用種類が、沢山あるためです。
11.講習の進め方と感想
・以下は、私が受講した講習区分「警報設備」の内容です。なお、法令の講習科目については、どの講習区分でも同じような内容になります。
・200人ぐらいの人が一つの会場に集まり、講義は、講師の方がいて大画面スクリーンでテキストの内容のポイントを説明していく形式です。
・質問は、時間の関係上、休憩時間に受け付ける形をとっていました。なお、休憩は、約1時間毎に10分程度、トイレ時間を含めてありました。
・テキストは、文章中心の構成で、図や表もありました。講師の方が説明する大画面スクリーンでは、複雑なテキスト文章のポイントや図示化がされており、大画面スクリーンの方が分りやすいため、画面の内容をテキストに入れてくれた方がよいのではと感じました。
・テキストの構成は、第1編の「法令解説」、第2編の「警報設備」、第3編の「資料編」の3編構成となっています。
・第1編の「法令解説」の講義は、午前中の2時間半の時間で、法令のおさらいや、防火対象物20項のうち特定防火対象になるかどうかの細かい判定の解説(特定防火対象物になれば、不特定多数の人が出入りするため、点検における報告の義務や、設置する設備が違ってきて、非特定防火対象物よりも、規制がより厳しくなります)、過去5年間で改正があった内容の解説となります。
・大きな火災事故があるたびに、追加措置が取られてきた内容を知ることができますが、対策が増える一方で減ることはほとんどないといった印象です。
・火災事例や民泊制度、および複合施設の形態が増える度に、特例などが通達され、より複雑な制度になっていると感じました。
・法改正の中で、自家用発電設備の点検方法が改正されて、その大まかな内容は、負荷運転周期が1年から6年に見直されている点や、模擬負荷を構成できない場合には、内部観察等で代用できる点は、画期的に効率化に繋がると感じました。
・第2編の「警報設備」の講義は、午後から4時間で、「自動火災警報設備」、「ガス漏れ火災警報設備」、「漏電火災警報器」、「消防機関へ通報する火災報知設備」、「総合操作盤」などについて、工事又は整備に関する技術基準の要点を中心に学習しました。
・「自動火災警報設備」については、P型・R型・アナログ式の受信方式の種類、熱及び煙感知器の種類や適用箇所等について学習しました。無線式の受信方式については、感知器と中継器の一部で使用した実績はあるものの受信機を含めたシステム全体のものは、普及していません。これは、各部に電源線としての配線が必要であるため、信号線も一緒に含めればよいことと、電池は検知器にしか使えないことから、一部分での使用実績のみで、無線化はあまり進んでいないのが現状のようです。
・「ガス漏れ火災警報設備」については、資格試験の受験のときは、さほど詳細な学習が必要なかったため、システムの構成や設置基準は、参考になりました。
・「漏電火災警報器」については、乙種第7類の資格が該当し、受験のときは、点検整備の学習しかありませんでしたが、工事としての設置基準は、電気工事士としても参考になりました。漏電火災警報器は、B種接地工事を施した接地線に設けることが技術基準で定められています。
・「消防機関への通報する火災報知設備」については、通信方式の時代の変化に合せて、インターネットプリトコルを用いた音声伝送を行うIP電話回線が普及してきています。従来のアナログ式では、停電でも使えましたが、IP電話回線は予備電源(UPS)がないと停電時に使えないため、UPSが設けられた回線終端装置を介して使用する必要があります。
・開催地方によって、年間の実施回数が違うため、受講の対象年度の人は、年度初めに、いつ受けるか早めに希望日を決めて、希望日の数か月前になったら余裕を持って申込むことをお勧めします。
・但し、一度納付した受講手数料や申請書は返してもらえませんが、特別な都合で受講できなかった場合には、年度内で実施される他の会場日に空きがあれば受講が可能なようです。早めの開催で都合が悪くなった場合には、多少の融通は利くようですので、その際には講習機関に相談してみて下さい。
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