【電気事業法】主任技術者免状の種類と保安範囲 ~選任義務や取得方法~
電気事業法第44条で主任技術者免状の種類と保安範囲が規定されています。
今回は、電気事業法上での主任技術者に関する内容をピックアップして解説します。
1.主任技術者免状の種類と保安範囲(電事法第44条、施行規則第56条)
(1)主任技術者免状の種類(電事法第44条)
主任技術者免状については、電気事業法第44条で、第1種、第2種および第3種電気主任技術者免状、第1種および第2種ダム水路主任技術者免状ならびに第1種および第2種ボイラー・タービン主任技術者免状の7種を定めています。
(2)主任技術者免状の保安範囲(施行規則第56条)
電気事業施行規則第54条の規定により、以下に示す通り、主任技術者免状の交付を受けている者が保安について監督をすることができる事業用電気工作物の工事、維持および運用の範囲を定めています。
a.第1種電気主任技術者免状
事業用電気工作物の工事、維持および運用(dまたはfに掲げるものを除く)
b.第2種電気主任技術者免状
構内に設置する電圧170kV未満の事業用電気工作物および構内以外の場所に設置する電圧100kV未満の事業用電気工作物の工事、維持および運用(dまたはfに掲げるものを除く)
c.第3種電気主任技術者免状
構内に設置する電圧50kV未満の事業用電気工作物および構内以外の場所に設置する電圧25kV未満の事業用電気工作物(出力5,000kW以上の発電所を除く)の工事、維持および運用(dまたはfに掲げるものを除く)
d.第1種ダム水路主任技術者免状
水力設備の工事、維持および運用(電気的設備に係るものを除く)
e.第2種ダム水路主任技術者免状
水力設備、高さ70m未満のダム並びに 圧力588kPa未満の導水路、サージタンク及び放水路の工事、維持及び運用 (電気的設備に係るものを除く)
図1.水力発電所の概要
写真1.ダム(黒部ダム)
写真2.導水路
写真3.サージタンク
写真4.放水路
f.第1種ボイラー・タービン主任技術者免状
火力設備(内燃力を原動力とするものを除く)、原子力設備および燃料電池設備の工事、維持および運用(電気的設備に係るものを除く)
g.第2種ボイラー・タービン主任技術者免状
火力設備(汽力設備で5,880kPa以上のもの内燃力設備を除く)、原子力設備(圧力5,880kPa以上のものを除く)、および燃料電池設備(改質器の最高使用圧力98kPa以上のものを除く)の工事、維持および運用(電気的設備に係るものを除く)
図2.火力発電所の概要(例、石炭火力)
写真5.ボイラー
写真6.タービン(例、蒸気タービン)
(3)規定違反に対する措置
電気事業法第44条第4項の規定により、経済産業大臣は主任技術者免状の交付を受けている者が、この法律またはこの法律に基づく命令の規定に違反したときは、その主任技術者免状の返納を命ずることができる。
2.主任技術者の選任・解任と従事者の義務(電事法第43条)
電気事業法第43条は、事業用電気工作物設置者に対し、事業用電気工作物の工事、維持および運用に関する保安を監督させるため、主任技術者を選任すべき旨を定め、その選任、解任について届出義務を課すとともに、主任技術者と事業用電気工作物の工事、維持および運用に従事する者の義務について次のように規定しています。
(1)事業用電気工作物の主任技術者の選任
事業用電気工作を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持および運用に関する保安監督をさせるために、経済産業省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければならない。
(2)自家用電気工作物の主任技術者の選任
(1)の規定にかかわらず、経済産業大臣の許可を受けて、主任技術者の免状を受けていない者を主任技術者として選任することができる。
(3)主任技術者の選・解任の届出
事業用電気工作物を設置する者は、主任技術者を選任したときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
(4)保安の職務
主任技術者は、事業用電気工作物の工事、維持および運用に関する保安の職務を誠実に行わなければならない。
(5)従事者の義務
事業用電気工作物の工事、維持または運用に従事する者は、主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければならない。
3.主任技術者の兼任(施行規則第52条第3項)
電気事業施行規則第52条第3項の規定により、事業用電気工作物を設置する者は、主任技術者に二以上の事業場または設備の主任技術者を兼ねさせてはならないことになっているが、事業用電気工作物の工事、維持および運用の保安上支障がないと認められる場合であって、兼任の承認を経済産業大臣または経済産業局長から受ければ兼任できる。
4.免状取得方法
全ての種類で、実務経験により申請で取得可能です。但し、必要な実務経験年数は、学歴や他の資格保有で違いがあります。
以上に加えて、試験の受験で取得できるのは電気主任技術者(第1種、第2種、第3種)のみです。
言い換えれば、電気主任技術者は、実務経験がなくても、試験で合格すれば免状を貰えるので、中には、「ペーパー主任技術者」が一定数存在するものと思われます。
以上
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