労働安全コンサルタント及び、労働衛生コンサルタントの試験に合格し、登録したての者を対象に、「労働安全・労働衛生コンサルタント登録時研修」が毎年、開催されます。
3月に試験合格が発表された後の約半年後に開催されますので、合格してから登録する方は、受講を考えてみてはどうでしょうか?
私も、合格後の登録した年に受講しておりますので、研修の内容や受講の感想などを紹介します。
冒頭の写真は、研修時のテキストと会場で販売されており購入した「労働安全衛生コンサルタント必携(製造業編・改定増補版)」の表紙を写したものです。
1.主催者
一般社団法人 日本労働安全衛生コンサルタント会
2.申込期限
東京開催:9月上旬
大阪開催:10月上旬
3.実施時期
東京会場:9月下旬
大阪会場:10月下旬
4.スケジュール(時間割)と研修科目
開催日は、1日で、9時~17時までで終わります。
9時~12時 労働安全・労働衛生コンサルタント業務の進め方(倫理、事務所の開設、営業活動等)、
労働安全衛生診断書の書き方
講師:(一社)日本労働安全衛生コンサルタント会 役員(会長など)
12時40分~14時40分 労働安全診断の基礎
講師:ベテラン労働安全コンサルタントの方
14時50分~16時50分 労働衛生診断の基礎
講師:ベテラン労働衛生コンサルタントの方
5.受講料
会員 16,000円
非会員 26,000円
※昼食のお弁当代込
6.研修内容
(1)労働安全・労働衛生コンサルタント業務の進め方、労働安全診断書の書き方
私が受講したときは、労働安全衛生コンサルタント会の会長自ら、講演しておりました。
内容は、コンサルタント会の歴史や活動実態の紹介がありました。安衛コンの年齢構成やコンサルタント業務の一人当たり企業数、年間従事日数、年間総収入などの紹介があり参考になりました。
倫理や生涯研修制度(目的とCPDの所定単位)の紹介がありました。また、コンサルタント事務所の開業についての紹介がありました。
コンサルタント営業活動のテクニック紹介がありました。また、顧問料金や診断・指導・講演料金に関する標準報酬の紹介がありました。
安全衛生コンサルタント業務で依頼が多いのは、建設業よりも圧倒的に製造業であることが意外でした。これは、建設業は安全管理部門があり、殆ど自力で対応しているためとのこと。
安全衛生診断において、注意するポイント8つの紹介がありました。(これは、大事な内容なので、いずれかの機会に別途紹介します)
コンサルタントに依頼するメリットについて紹介がありました。これは、営業活動で話せば効果的だと思いました。
安全衛生診断の一連の流れ、現場指導のポイント、安全衛生診断実施結果報告書の診断項目や安全衛生診断のチェックリスト作成手引きの紹介がありました。
(2)労働安全診断の基本
ベテラン労働安全コンサルタントの講師による、安全診断の実施ステップを細かく分けて、より具体的な紹介がありました。
また、安全診断チェックリスト例の紹介や安全診断におけるリスクアセスメントの診断の主なポイント紹介がありました。
最後に、ベテラン安全コンサルトならではの私見として、安コンのポイント紹介がありました。その中で、「診断労力は、少なくとも報酬額の2倍以上を掛けよ」と話されていました。これは、報酬を払う側と貰う側の価値観に違いがあるためとのことです。
(3)労働衛生診断の基本
ベテラン労働衛生コンサルタントでかつ、産業医の講師による、化学物質を取り巻く課題(背景)や心の健康問題、労働衛生診断の手順など具体的な紹介がありました。
作業環境管理状況診断の要点や健康管理状況診断の要点、労働衛生教育診断の要点等の紹介。
SDS使用上の注意、OSHMS(労働安全衛生マネジメントシステム)導入のポイントや、最後に労働衛生コンサルタントとして、これまでの経験を基にした、留意点の紹介がありました。
留意点として印象に残ったのは、衛生コンサルタントを続けるうえで、「師・友・パートナーに恵まれるように心掛けている」と話されていました。
檀上から我々、受講者に対して、先生方と話されていた点は、産業医の方が多い衛生コンサルタント向けの講演ならではの印象を受けました。
【LEからの本紹介】
「嫌われる勇気」私も読んでみました。人間が行動する心理学は、フロイト、ユングの原因論ではなく、アドラーの目的論であるという考え方は、初めて聞く視点であり、言われてみればそうなのかなと徐々に納得していきました。また、自分と他者の課題を分離するという考え方、つまり自分に対する他者の評価は他者の課題であり、自分の課題ではないという考え方は、自身が楽に構えられる考え方であり、肩の力を抜いて生活できる源となります。本書は、先生(賢者)と劣等感を抱く若者との対話形式であり、初めの頃、若者は先生をペテン師呼ばわりしていましたが、終わりには、素直な心で先生の考え方を受け入れていくお話しです。
7.受講の感想(メリット)
・労働安全衛生コンサルタント会でのアンケート調査結果として、安衛コンの年齢構成や他に所有する資格、業態(専業、兼業、会社勤めなど)、年間実績、年間収入は、コンサルタント業を営むうえでの参考になります。
・コンサルタント契約の契約書や安全衛生診断チェックリスト作成の手引きが、配布資料に添付してあり、実際の業務にあたり、使える参考資料が添付されていました。
・「労働安全診断の基本」と「労働衛生診断の基本」は、東京会場と大阪会場で講師が異なり、講義資料は、別々で冊子内にそれぞれとじ込まれているため、他会場の資料も確認できます。
・生涯研修制度で、5年間で250CPDを取得し、申請することで、認定証の交付により称号を手にすることができます。安全コンサルタントは、「CSP 労働安全コンサルタント」、衛生コンサルタントは、「COH 労働衛生コンサルタント(保健衛生の方)」、「CIH 労働衛生コンサルタント(労働衛生工学の方)」の称号の使用が許可されます。安衛コン自体の人数が少ない中で、更に少人数に与える称号のようです。CPDの年間取得数は、技術士のCPD制度と似ている印象です。
・会場の入り口で、「労働安全衛生コンサルタント必携(製造業編・改定増補版)」2,500円の販売をしており、労働安全診断編と労働衛生診断編が記載された単行本サイズ(厚みは10mm程度と分厚い)となっており、購入しました。しおりを入れて、継続的に読むことで、安全衛生の知識を形骸化させないようにしています。コンサルタント会のバッジも販売しておりましたが、そちらは購入しませんでした。
8.全体を通して
労働安全コンサルタント、及び労働衛生コンサルタントを生業(なりわい)とすることを考えている方は、受講した方がよいと思います。但し、労働安全コンサルタント、又は、労働衛生コンサルタントの試験に合格し、かつ登録していない方は、受講できませんので、興味のある方は、先ずは、試験の合格が必要となります。
なお、受講後に、立派な「修了証」を貰えますので紹介しておきます。
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以上
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