【法令関係】法令の基礎(読み方)1 ~法令の種類・効力発生時期~
国家資格を受験する際、法規や法令関係の試験科目が存在します。例えば、電験(電気主任技術者)であれば「電気事業法」、技術士であれば「技術士法」、労働安全コンサルタントや衛生管理者であれば「労働安全衛生法」の法律の基、その下に政令や省令などが細かく制定されています。
今回は、まず初めに「法令の種類」について、厚生労働省所管の法律である「労働安全衛生法」の関係法令を例に整理して解説し、次に「法令の効力発生時期」を示す用語について、説明します。
1.法令の種類
(1)法律
国会により制定される成文法であり、議決を経て制定されます。主務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署し、天皇陛下が交付します。⇒例)労働基準法、労働安全衛生法
(2)命令
国会の議決を経ないで、行政機関が制定する成文法であり、政令や省令があります。内閣の政令、各省の省令の他に、内閣官房長官令や内閣府令などがあります。
a.政令
内閣が制定する命令であり、閣議によって成立し、天皇陛下が交付します。この政令は、法律の適用対象となる「定義」を定めている場合が多い。⇒例)労働安全衛生法施行令、作業環境測定法施行令(「せこうれい」と読む)
b.省令
省令は、各省大臣が係わる行政事務について法令もしくは政令を施行(「しこう」と読む)するために、それぞれの機関が命令として発したもの。⇒例)労働安全衛生規則、ボイラー及び圧力容器安全規則、クレーン等安全規則
(3)告示
公の機関が指定・決定等の事項を一般に知らせる行為で、各大臣および各外局の長官が発します。立法行為の性格を持つものや国民一般に対して一定の事項を通知するもの(官報など)がある。⇒例)ボイラー構造規格、安全衛生特別教育規程、労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針
(4)通達(※法令外の扱い)
行政機関からの各種指導・通達など。⇒例)○○について(基発○号)
国家試験の法令科目で出題される範囲は、主に「法律」、「命令(政令・省令)」から出題されます。
2.法令の効力発生時期
(1)公布
公布とは、成立した法令を一般に周知させる目的で当該法令を公示する行為をいいます。法令公布の方式について一般的に定めた法律の規定はありませんが,官報に載せることによって行うのが慣例になっています。法令は施行によって現実に効力を発しますが、公布は施行の要件です。法令は公布より一定の期日後に施行されるのが原則ですが,公布とともに施行される場合も少なくはありません。
(2)施行(「しこう」と読む)
施行とは、法令の効力を現実に発生させることで、法令の規定の効力が現実に「一般的に発動し、作用することになること」をいいます。つまり、「制定・公布されたがまだ未発動の状態にある法令を現実に働き出す状態に置くこと」です。
(3)適用
適用とは、法令の規定を個々の対象に対して働かせることをいいます。施行が法令の規定の効力の発動であるのに対して、法令の規定が個別的、具体的に特定の人、特定の地域、特定の事項について、現実に発動し、作用することをいいます。別の言い方をすれば、法律の施行後において、法律を具体的な対象にあてはめることを言います。
3.今回のまとめ
以上の流れ的には、「制定」⇒「公布」⇒「施行」⇒「適用」となります。
国家試験の法令科目では、新たに制定された法令や改定になった法令から出題される傾向があります。この際、「施行」や「適用」時期を確認することにより、今年度の出題範囲なのか来年度の出題範囲なのかを見分ることが出来ます。
またの機会に、「 【法令関係】法令の基礎2~法令見出し番号の表示ルール~」について取り上げます。また、「電気事業法」や「技術士法」などの体系についても解説したいと思います。
関連記事リンク1: 【法令関係】法令の基礎2 ~法令見出し番号の表示ルール~
関連記事リンク2: 【法令関係】法令の基礎3 ~接続詞や条文言葉の意味~
以上
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