【電験直前対策】電験3種と電験2種・1種一次試験の出題形式の違い
前々回の記事で、「 【電験直前対策】電験1種・2種一次試験、電験3種の1~2週間前からの過ごし方 ~受験日の持ち物リスト他~」について5項目挙げて紹介しました。今回は、「【電験直前対策】電験3種と電験2種・1種一次試験の出題形式の違い」について解説します。
「電験3種」と「電験2種・1種の一次試験」は、科目が「理論」、「電力」、「機械」、「法規」に分れており、いずれもマークシート方式の解答であり、科目合格制度(2年間有効)を導入している点では同じです。 以下に、違いがある出題形式について解説します。
まずは、「電験3種」の各科目の解答数と点数ですが、解答数が20で、合計100点(5点×20)です。但し、「法規」のみ解答数が14で、合計100点満点(解答毎に6点か7点に分かれている)の試験です。
「電験3種」の出題形式のサンプル例は以下となります。 以上のように5択であるため、適当に答えを選んでも当たる確率は20%です。
次に「電験2種・1種一次試験」の各科目の解答数と点数ですが、解答数が35程度で、2種が合計90点満点(解答毎に3点か2点に分かれている。3点×20+2点×15)、1種が合計100点満点(解答毎に3点か4点又は2点に分かれている)の試験です。これは、「電験3種」と違い「法規」も同じです。
「電験2種・1種一次試験」の出題形式は以下となります。 (2017年度「法規」出題問題より)
この問題は、2017年度に「法規」で出題された問題例です。 1問あたり(1)~(5)まであり、15の解答群の中から解答数を5個答える形式であるため、単純に考えて15÷5=3で3択のような問題となります。つまり、普通に考えて絞り込んだ中から選んだ場合の当たる確率は、33.3%であり、「電験3種」よりも当たる確率は高いと言えます。
具体的には以下に解説します。
(1)普通に読んだだけで当てはまるであろう選択肢は、「(二)受診」、「(チ)入院」、「(ワ)通院」の3択ですが、電気関係報告規則第3条より、「感電又は電気工作物の破損若しくは電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより人が死傷した事故(死亡又は病院若しくは診療所に入院した場合に限る。)」であるため、「(チ)入院」となります。⇒文章を普通に読んだ際に、「感電で死傷した事故」と記載しており、カッコの中で先に「死亡」の言葉が出てきているため、次に重いのは必然的に「(チ)入院」となります。これは3択というよりも1択問題と言えます。(当たる確率100%)
(2)普通に読んだだけで当てはまるであろう選択肢は、「(ホ)燃料電池」、「(ヌ)風力」、「(ヲ)太陽電池」の3択ですが、電気関係報告規則第3条より、「出力500kW以上の燃料電池発電所、出力50kW以上の太陽電池発電所、出力20kW以上の風力発電所」となっているため、「(ヌ)風力」となります。⇒風車の破損は、公衆への危険度が高いため、なんとなくこれかなと予想できます。(当たる確率はとりあえず33%としておきます)
(3)普通に読んだだけで当てはまるだろう選択肢は、「(ロ)変電所」、「(ル)需要設備」、「(ヨ)送電線路」の3択となりますが、電気関係報告規則第3条より、「電圧1万V以上の需要設備(自家用電気工作物を設置するものに限る)」となっているため、「(ル)需要設備」となります。⇒そもそも変電所や送電線路となった時点で、自家用電気工作物ではなく電気事業の用に供する電気工作物となるため、1択問題と言えます。(当たる確率100%)
(4)普通に読んだだけで当てはまるであろう選択肢は、単位が〔V〕であるため数字が入ることが分り「(イ)7,000」、「(へ)3,000」、「(カ)600」の3択ですが、電気関係報告規則第3条より、「一般送配電事業者の一般送配電事業の用に供する電気工作物又は特定送配電事業者の特定送配電事業の用に供する電気工作物と電気的に接続されている電圧3千ボルト以上の自家用電気工作物の破損又は自家用電気工作物の誤操作若しくは自家用電気工作物を操作しないことにより一般送配電事業者又は特定送配電事業者に供給支障を発生させた事故」とあるため、「(へ)3,000」となります。⇒そもそも600V以下は、一般用電気工作物であるため、(カ)はありえず2択問題と言えます。(当たる確率50%)
(5)普通に読んだだけで当てはまるであろう選択肢は、「(ハ)経済的」、「(リ)社会的」の2択となりますが、電気関係報告規則第3条より、「電気工作物に係わる社会的に影響を及ぼした事故」とあるため、「(リ)社会的」となります。⇒そもそも経済的影響は保安上に関係ないため、「社会的」の1択問題と言えます。(当たる確率100%)
以上より、「電気関係報告規則第3条」を知らなくても当たる確率を平均すると77%となります。また、解答群数15のうち、「(ト)管理」はどの文章問題にも当てはまらないものもあります。 結論として、「電験3種」は5択問題、「電験2種・1種一次試験」は3択問題であるため、難易度の違いはあるにせよ、分らない問題で適当に解答した場合に当たる確率は、「電験2種・1種一次試験」の方が高いと言えます。但し、「電験2種・1種」は、二次試験があるため、まぐれで合格しても、二次試験の難関に阻まれる仕組みとなっています。
今回「電験2種・1種一次試験」の問題の例で取り上げたように、詳細な規則等が分らなくとも、論理的に答えを導き出すことは可能ですので、1問でも多く正答できるよう、最後まであきらめずに受験することで、合格基準である点数60%以上を取れるように努めましょう。
関連まとめ記事: 【電験直前・直後対策】総集編(電験3種、電験1種・2種一次試験対策) ~受験者の皆さんへエールを送る~
以上
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